愛媛大学工学部 エネルギー変換材料
工学研究室
Engineering of Energy Conversion Material

研究内容

当研究室では、燃料電池、水素分離膜、ガスセンサなどの電気化学デバイス、およびセラミック膜や構造用金属材料の形態制御法の開発に取り組んでいます。

セラミック材料を用いる水素分離型リフォーマの開発

現在、水素は主に化石燃料の水蒸気改質によって作られていますが、この方法で生成される水素にはCOやCO2などの不純物が含まれているため、これらを除去する必要があります。現在、水素分離法としては圧力スイング吸着法(PSA)が広く使われています。私は、安価で小型なインサイト型水素製造装置に利用できる水素分離型リフォーマー(HSR)の開発を行っています。HSRは、水素の製造と分離を同時に行う装置で、多孔質セラミック触媒基板と水素透過膜の接合体で構成されています。この装置の材料開発や膜形態の制御を行い、高効率かつ安価な水素製造方法の実現を目指しています。

呼気ガス検知用センサの開発

呼気には酸素、窒素、二酸化炭素などの空気中の成分に加え、水素、メタン、その他の有機ガスが微量(ppmレベル)含まれています。これらのガス成分は人間の代謝活動で生成され、疾病と関係していることが分かってきました。例えば、水素は消化不良で腸内細菌により産生され、呼気中に排出されます。私は、こうした呼気中の微量成分を高感度で検知できるガスセンサの開発を目指しています。ターゲットガスを選択的に吸着するセラミック膜を開発し、低濃度ガスを高感度かつ選択的に検知する技術を追求しています。また、呼気ガスだけでなく、可燃ガス漏れの検知や大気汚染ガスの制御用センサの開発も行っています。

固体酸化物型燃料電池(SOFC)の低温作動化

固体酸化物型燃料電池(SOFC)はセラミック材料を使用し、高温(約800℃)で動作するため、高いエネルギー効率を達成できます。既に家庭用燃料電池として市場に投入されていますが、高温作動による副反応で電池寿命が短くなる問題があります。そのため、SOFCの低温作動化が研究されています。私は、低温でも高いイオン導電率を示す酸化物プロトン導電体を電解質に用いたSOFCの開発を行っています。電気泳動堆積法で緻密なプロトン導電体薄膜を形成し、600-700℃の低温でも良好な電池特性を得ています。さらに、電極基板の構造改良により高出力化を目指しています。

構造不均一性導入を利用した高強度・高延性化

材料は高強度化すると延性を失うというトレードオフの関係がありますが、近年、高強度でありながら高延性を示す合金が報告されています。これらの合金は、ナノサイズの不均一な微細組織を持っているのが特徴です。例えば、粗大粒と微細粒の2種類の粒径からなるバイモーダル組織が典型的です。このテーマでは、不均一構造(特にバイモーダル組織)を積極的に導入し、高強度化された合金の高延性化を目指す研究を行っています。

CO2水素化による有価物合成

CO2の再資源化は、大気へのCO2排出を緩和し、燃料や化学物質の原料を生成することでエネルギー問題の解決に有望です。特にCO2水素化によるメタノール合成の解析を計算科学で行っています。ZnZrOxなどのジルコニア(ZrO2)系固溶体触媒は高い活性と選択性を持つため、この触媒の構造や反応の解析を進め、新規触媒の探索を目指しています。